【書評】給料の上げ方

書評
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給料の上げ方について具体的な方法を書いた本

今回はデービッド・アトキンソン著の「給料の上げ方」についてまとめます。

結論は給料を上げたければ「交渉」しろ、納得いかなければ他を当たるか起業すること、と述べています。

しかしこの結論は、仕事である程度実績を残してきた人だけに許されるものであり、「定年までになんとか今の仕事にしがみつく」というマインドを持った人や「ブラックすぎて今の仕事はクソ」と言いつつ行動を起こさない人は、読んでも意味はありません。

しかし上記の人が日本人の大半を占めるのだろうなと、筆者は考えています。

かつ給料を上げたい場合は、生産性の高い業界の大企業もしくは、中企業がおすすめと言っています。

中企業といっても下請けオンリーのところではなく、オンリーワンの商品を開発している企業のことを指しているのだと思います。

個人的に面白かったところ

個人的に面白いところをいくつかピックアップしていきます。

  • 52歳までは賃上げの余地あり(この年齢をピークに賃金は下降する)
  • 賃金を上げたいなら、生産性の低い業界に勤めてはいけない(逆張り思考はNG)
  • 高齢者向けマーケットもしくは学業系マーケットは穴場

最初の52歳までは賃上げの余地ありというのは、本では厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成30年)から来ています。

逆に考えると、これ以降の年齢(53歳以上)の人は賃金が低下するので、お金が不足しそうな場合は何かしらの対策を講じる必要があるといえます。

それが副業かダブルワークかは残念ながら本では言及していません。

次に「賃金を上げたいなら、生産性の低い業界に勤めてはいけない」はたとえ例外で生産性の高い会社があったとしても、統計的には少ない部類に入るのでそれなら、平均的に生産性が高い業界に入ったほうが賃金が上がりやすいのは当然です。

筆者はこの経験をしています。

前職のパートで入ったときに、小売業の事務をやっていてVBAを使ったマクロを組んで作業を効率化させたりしていましたが、賃金は上がるどころか下がったため、IT業界の事務に転職した経緯があります。

なので本で書いていることは間違いではありません。

逆張りは経営者であれば考える余地はありますが、従業員としてはやめたほうがよいのは上記理由からも明らかです。

最後の「高齢者向けマーケットもしくは学業系マーケットは穴場」についてです。

高齢者向けマーケットは、定年後の余暇時間とお金を落とすことを念頭に書いています。

これについて、筆者は平日に山梨県の上野原市の日帰り旅行で自治体が考えていることについて言及しました。

これがまさにそうで、上野原市の観光自体が土休祝日に観光客が来るように、バス便などが設定されていたことを述べました。

学術については国の支出が諸外国と比べて、かなり少ないことを述べています。

本では国民経済計算、JIPデータベース2015(一部宮川簡易推計)及びINTANから引用しています。

国がこれだけお金を使わないということは、民間でこの分野で開拓する余地があるということも示しています。

こうしてみると、自分の体験したことがこの本に当てはまるところが結構あることがわかります。

考え方によっては日本はいくらでも改善するところがあるとも

日本は陰謀論が好きで、ネガティブなことを発言する人が多いです。

しかし逆に考えてみると、これだけボロボロになるということは改善の余地がたくさんあり、個人でGDPを増やす方法が他国と比べてかなり多いことも、この本で間接的に示しています。

すべての出来事には良い側面と、悪い側面があり、悪い側面ばかり見ていると逆の良いところが盲点になってしまいます。

知的な人で日本がこれから良くなると考えている人は、筆者と同じく改善の余地が日本は多分に残されていると思っているはずです。

まとめ

日本がここまでダメになった理由を考えると、バブル期当時の経営者や政治家、サラリーマンが崩壊とともにマインドチェンジできず、現状維持にこだわったのが一番の要因だと考えます。

このマインドを後世に教育面で指導したことが、実経済と合致しないため若い人の自尊心が根こそぎ刈り取られてしまって、失われ続けた経済となっているというのが真実ではないでしょうか。

「バブル期に俺たちは良くやったから、後輩あとよろしく」という儒教の考え方を悪用した群衆マインドをまず何とかしないと、少数の人が圧倒的な利益を手に入れる厳しい社会になるのではないかと筆者は考えます。

ご参考になれば幸いです。

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