「指示通り」できない人たちの分類
榎本博明著【「指示通り」ができない人たち】を読みました。
仕事ができない人を大きく分類すると以下にわかれます。
・認知能力
・メタ認知能力
・非認知能力
認知能力は要するに頭の良さで、言ったことを理解しドキュメントを読み解く力のこと。
メタ認知能力は、自省する能力のことで振り返って良かったところ、改善の余地があるところは何か?といった能力のこと。
最後の非認知能力は、簡単にいうと感情のコントロールがうまくできているかということ。
この本はこれらの能力の1つもしくは複数欠けている人に対して、こうすると良いですと事例集を出しているのですが、大きな問題が1つあってそもそも3つの能力を高めることができるのは、まず本人が自覚して危機感を覚えないと馬の耳に念仏になるということが欠如しています。
自分が上記の能力が欠如していた人に、この著者のようなアドバイスをしても、右から左に抜けてしまう人は世の中に沢山います。
人をうまく誘導しようと思っても、本人が気づかないとただの徒労に終わることをこの本では述べていません。
失われた30年下で成功体験を積みにくい環境で、改善などできたのか?
事例は現在の20代から30代前半の社員について取り上げているようです。
ただこれはそれ以上の年代の人に責任はまったくないのでしょうか?
自分は違っていると思っていて、失われた30年と言われてこの間にGDPを上げられなかった人自身に問題はなかったのかというと、そんなわけもなく事業の成功体験を積ませることができないのが、若手に対する自尊心の大幅欠如にも結びついていませんか?
基礎能力云々もそうですが、ビジネスの成功者が極端に少ない日本で自尊心を培うのは大変なことではないでしょうか?
本は従業員目線で書いていますが、こちらも気になりました。
如何にも学者の模範的回答に辟易
最初の方で述べましたが、事例に対する回答が教科書的で「人間はこんなに簡単に改善できるわけがない!」というのが自分の意見です。
実際このとおりやってうまくいく事例は、元々の素質が高い人ではないでしょうか?
この本に出てくる会社は中小企業がメインで、従業員もそのタイプであるならば、著者の改善方法は自分が最初に述べたとおり改善するのは並大抵のことではできません。
そういった向上心のない人も、結構いるからです。
学者という立場上、自分と同じくらいの心理状態で、3つの欠陥がある人はそりゃすぐに教科書どおりにやれば改善できるという結果になるでしょうが、自分自身ルサンチマンに堕ちた経験とその時の心理状態、周りの環境などからこのやり方でうまくいく人は、そんなにいるわけないだからこの本は役に立たないというのが終始自分の言いたいことです。
まとめ
著者は「指示通り」ができない人たちを以下に定義しています。
・認知能力
・メタ認知能力
・非認知能力
ただこれは学者である著者の立場と同程度の若者が自然と対象になってくるため、教科書通りのやり方で対処できると思っているようですが、多くの中小企業では優秀な人が採用しにくいため、どうしても手駒の強さが限られてしまいます。
当然上記3つの能力が欠如している人もいる中で、教科書どおりにいけばうまくいく人などほとんどいないことに現場は気づくでしょう。
この場合の有効な手段は、外注を使う、派遣からスタートさせる等リスクを抑えて、人間性がわかったところで社員に切り替えるのがベストではないでしょうか。
解雇制限は日本においては厳しいのを見越してでのことです。
ご参考になれば幸いです。
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