【書評】『働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている』から学ぶ、40代からの会社生存戦略

書評
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侍留啓介氏の著書『働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている』は、現代のビジネスパーソン、特に40代以降の会社員にとって示唆に富む一冊です。

本書は、一見するとネガティブに捉えられがちな「働かないおじさん」という存在が、いかにして資本主義社会を賢く生き抜いているのかを解き明かします。

この書評では、筆者が特に注目したポイントと、読者が自身のキャリア戦略にどう活かせるかについて解説します。

資本家(起業家)の戦略に学ぶ「一攫千金教」のバイアウト術

本書の第2章では、「一攫千金教」と題して、M&Aによるバイアウト(事業売却)を成功させるための戦略が紹介されています。

これは、将来的に独立や事業売却を考えている方にとって非常に参考になる内容です。

  • 質より量を追求する:「80点主義」で市場投入 完璧を目指すのではなく、まずは「80点」の完成度で市場に投入し、試行錯誤しながら改善していくアプローチが重要です。
    これにより、スピード感を持って事業を成長させることができます。
  • カリスマ性を排除し、徹底したシステム化 属人性を排除し、誰でも同じ品質の仕事ができるようシステム化を徹底すること。
    これにより、事業の再現性と拡張性が高まり、売却時の評価も向上します。
  • 徹底的な模倣と応用 既存の成功事例を「ビジネスモデルやシステム」として模倣し、自社に合う形で応用する戦略です。
    単なるコピーではなく、本質を理解し、自社の強みと組み合わせることで、新たな価値を生み出します。
  • 「人たらし」になる:従業員の人心掌握術 従業員を巧みに「洗脳」するという言葉は刺激的ですが、これは従業員のモチベーションを高め、主体的に働いてもらうためのリーダーシップとコミュニケーションの重要性を示唆しています。

これらの戦略は、起業家だけでなく、企業内で新規事業を立ち上げる際や、チームを率いるマネージャーにとっても応用可能な視点を提供してくれます。

40代からの「働かないおじさん」的生存戦略

本書の核心となる第3章では、会社にしがみつき、安定した生活を送るための「働かないおじさん」的生存戦略が展開されます。

特に、40代以降の転職市場の厳しさを踏まえた現実的なアドバイスは必読です。

著者は、仕事の「楽しさ」「待遇」の2軸で自身の現状を把握し、戦略を立てることを提唱しています。

しかし、日本において40代以降の転職は難易度が高まるため、「順張り」(転職先で自分の優位性を活かせないところへ行くこと)は自殺行為であると警告しています。

ここで重要なのは、40代になるまでに、仕事が楽しくなく、かつ待遇も悪いポジションに自らを置かないよう、緻密なキャリアプランを練ることです。

では、現在の会社で生き残るためにはどうすれば良いのでしょうか? 著者の答えは明快です。

  • 上司に気に入られることが最重要 これは多くの会社員が経験的に理解していることでしょう。
    会社の評価システムにおいて、上司との良好な関係は昇進や待遇に直結することが多いため、上司から「必要とされる存在」になることが安定した会社人生を送る上で不可欠です。
  • 「会社で必要とされる能力」+「α」でライフワークバランスを充実 出世競争に巻き込まれずとも、会社で必要とされるスキルを維持・向上させ、そこに少しの「α」(例えば、特定分野の深い知識や、円滑な人間関係構築能力など)を加えることで、自身の市場価値を高めます。
    これにより、無理に出世を目指すことなく、ワークライフバランスの取れた充実した会社生活を送ることが可能になります。

まとめ:あなたの会社人生をデザインするための必読書

本書は、前置きがやや長いと感じるかもしれませんが、本当に知りたい部分だけを拾い読みしても、十分に価値のある情報が得られます。

特に、自身のキャリアに漠然とした不安を抱えるビジネスパーソンにとっては、今後の会社人生の設計指標として役立つことでしょう。

世の中の階層構造が「べき分布」になっているという前提を踏まえ、自身がサラリーマンとしてどこまで昇れるのか、もし厳しいと感じるなら40歳までに何をすべきか。

本書は、そうしたキャリアにおける重要な問いを考えるきっかけを与えてくれます。

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