世界の中世以降の戦争とお金に関する歴史書
小野圭司著「戦争と経済-舞台裏から読み解く戦いの歴史」を読みました。
世界の主に中世以降、日本については明治から昭和初期における戦争に関する経済を中心に解説した本です。
戦争という点にスポットを当てて、お金はどのように工面するのかを書いた良書です。
特に日本においては、明治から昭和初期までどのように国がお金を使って富国強兵をしたのか、自分にとってはブラックボックスだったので、かなり勉強になりました。
戦時に国民の生活と戦争に必要なリソースとの関係性はどうなるのか、合理的な理由がわかります。
教育に関しても、平時に何のためにあのような教育を国民に施しているのか、理由が明確にわかります。
日本の明治時代から昭和初期の戦争に関する経済がわかる
戦争に限らず、自分が一番興味がある江戸時代から太平洋戦争までの経済成長の過程を書いた本が中々ない中、西南戦争から太平洋戦争までにかかった費用をどう捻出しているかを、この本は書いています。
基本的に江戸時代からお金がないので、借金というレバレッジを効かせて経済成長を成し遂げたというのが明治時代の背景としてあったようです。
さらに戦争の賠償金を軍事に再投資するということをやっており、海を超えた先にある大国、中国やロシア(ソ連)とバトルしなければならないので、借金に借金を重ねないとあっという間に侵略されてしまうという事情もあったようです。
このあたりの経済成長の過程は読んでいて、ブラックボックスだったことがよく分かるところなので、一読をおすすめします。
平時の備えに対して国が行っていること
戦争をするということは、とにかくお金が大量に必要でそのためにリソースというリソースをすべて投入しないといけません。
危機時にはそのため、電気代やら服の生地の元からあらゆるものが軍装備のための資源になるため、国民の生活は苦しくなります。
では平時ではどうかというと、資金に余裕のあるところから国債を買わせる、つまり銀行預金に預けることで軍備のお金に当てます。
教育も貧弱な子どもが成長して大人になったところで、いざ戦士として使えないため、教育によってそのばらつきを少しでも抑えるために、身体を鍛える授業などを取り入れているとされています。
今世界でうつ病が増えている中で、非常事態になったとき果たして世界はどうなるのか、ここは今後注目していきたいところです。
まとめ
本書は、非常時(戦争)時にかかるお金にスポットを当てて書いているだけでなく、平時が非常時になったときに慌てふためかないように、国民に何をさせているのかについても言及していました。
戦争はとにかくお金がかかり、国民から大義名分を元に色々生活資源を取り上げ、かつ預金からも防衛もしくは戦争のためにお金を借りるということをしています。
教育も人のばらつきを抑えるため、やっているという話は納得がいくところです。
兵士として使い物にならない人をなるべく減らすために、やっているという話は合理性があります。
その他目からウロコの内容がてんこ盛りで、勉強になることが多いので今年一番のオススメです。
ご参考になれば幸いです。
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