【書評】荒木飛呂彦の漫画術

書評
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漫画は掴みとそこに入れる情報が大事

ジョジョの奇妙な冒険の作者で漫画家の荒木飛呂彦先生が書かれた本について、自分にも使えるものがあるので、備忘録として色々書いていきます。

まず漫画に限りませんが、掴みつまり最初パッと見で読みたいと思わせないと機会すら与えられないというのは電子書籍にしても、動画にしても言えることです。

ゆえに表紙は読みたくなるタイトルで、それを自問自答しなぜと深く考えます。

次の難問は誰もが最初に目にする1コマ目で、いつどこで誰が何をどうしたかわかるように描くようにしないと読者は世界観に入り込めずに離脱してしまうとのことです。

画でそれを一気に表現すること自体、自分にはちょっと考えが及びません。

1コマ目を通過したら今度は1ページ目で、ガッチリ読者の心を掴みます。

ここは漫画の予告で、できるだけ情報を盛り込みワクワクするようなストーリーに読者を導きます。

漫画の基本四大構造

漫画には基本となる四大構造があり、上から順に重要です。

  • キャラクター
  • ストーリー
  • 世界観
  • テーマ

最初のキャラクターは猿真似はNGで、主人公を含む他のキャラクターを作成するときに、身上調査書なるものを作成しているそうです。

身上調査書は履歴書をもっと細かくしたもので、血液型、生まれ、体型、長所短所など1つのキャラクターにそういった要素を60項目設定しているそうです。

これを作ることで、キャラクターがあたかも現実世界に存在するような設定にしています。

次にストーリーです。

鉄則として、起承転結でストーリーを作る、主人公は常にプラスの状態になるというのがあります。

最初の起承転結は、この中で重複は許されるが抜けはNGということを意味しています。

起承転結の流れを覚えるには、日常生活で意識してこれを覚えるようにすると自然とできるようになるとのこと。

主人公は常にプラスというのは漫画特有で、スタート時点では0もしくはマイナスでも問題はないのですが、そこから読者のテンションを上げるために主人公の状態はプラスに持っていくのが理想だそうです。

人生では山あり 谷ありというのが常ですが、漫画ではタブー視されています。

これと同様に停滞や悩んでウジウジしている状態も、いくら主人公がそのうち成長したとしても、この間に読者は飽きて離れていってしまいます。

次の世界観は日常生活においても、SFだとしてもその描写が細部までリアルでなければならないということです。

少しでも矛盾があると、読者は必ず突っ込んできます。

これはテレビの発言や、テロップのミスがすぐ指摘されることを見れば明らかです。

この世界観については、最初はネットで調べて細かいところは現地で取材ということをしています。

最後のテーマは、首尾一貫してぐらつかせないことが大事と作者は述べています。

あくまでも長く続けたい場合は、自分の人生に沿っていることが大事で、旬なテーマで書くと短期的には成功しても、長期的には続かないことを喝破しています。

アイデアの出し方

アイデアは作者の人生や生活、考え方に深く関わっているところから生まれます。

そして自分が面白いと思ったことをメモします。

以下の3点について、なぜそうなのかという分析をしてアイデアを広げると良いとのことです。

  • 自分が良いと思ったこと
  • 自分とは違う意見や疑問に思う出来事、理解できない人
  • 怖い出来事や笑える出来事、トラウマになりそうな出来事

これらには必ず本人に理由があるはずなので、そこを深掘りします。

最後にアイデアが尽きるというのは、自分の興味が尽きるからそうなるのだと作者は言っています。

まとめ

以上が自分が本を読んで気になったところです。

最初にお客様の心を掴むためのテクニックを、文章で理論的に書いているところは自分の仕事についても参考になることが多かったです。

身上調査書をあれだけの人数かつ、60項目全部埋める、また世界観については矛盾をなくすために徹底的に調査する。

これを週刊誌で回していたのですから、ちょっと自分とは遠い世界の人に思えてきます。

漫画の作り方も、これだけロジックを組み立ててやっていることがわかり、目からウロコでした。

今後知りたいのは、週刊誌で調査を事細かく短時間でやり遂げる方法論になります。

ここが凡人と才能ある人の決定的な差のような気がしてなりません。

ご参考になれば幸いです。

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