【書評】中年格差

書評
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著者の年齢と北欧型が完成形であるという誤謬

「中年格差」という本を読みました。

これは我々高度経済バブル崩壊後の1994年から、ITバブル崩壊後の2004年くらいまでに就職した氷河期世代についてまとめた経済本です。

結論ですがちょっと貧困層にスポットを当てすぎて、本質が見えていないところが多々ある気がしました。

著者の年齢は80歳と高齢であること、このくらいの世代だと北欧型の社会が完成形であるという信念みたいなものが見え隠れします。

この北欧型社会が社会の完成形という意見は、筆者の考えと相入れませんでした。

なぜなら日本は、怠惰な人が多いため北欧型社会にするとあっという間に国家がデフォルトになる可能性が高くなるからです。

ゆえに怠惰な人が多い=独歩で自分の強みがあれば、社会的成功確率が諸外国と比べて高いという盲点にスポットを当てていないため、この本の主張とは相容れませんでした。

ただ普通科高校の教育にもっと多様性をもたせる考え方は、共感できるところです。

これは普通科高校を卒業して、大学入学を諦めると何の特徴もない凡人になりさがって、社会に適合できない人が増えるからです。

2020年に書かれた本の割に、近年の雇用状況の話題が少ない

この本が書かれた時期は2020年ですが、東日本大震災のあたりから人口減少の足音がひたと来ていたにもかかわらず、被雇用者に有利な状況になっていることをあまり触れていません。

たとえ中年であっても、今は被雇用者に有利なため正しい努力の方向性に持っていけば、ここから多少は人生挽回できる可能性が広がっていることは明確です。

それは上記で示したとおり、大半の日本人は怠惰であるためこの事実を知ることで、被雇用者であってもレバレッジを利かすことができます。

つまり交渉(面接)次第では、自分に有利なように条件を持っていくことも可能なはずです。

加えて働き方の多様性も許容されており、ココナラを初めとしたクラウドソーシング、広告で収入を得るなどやり方は20年前と比べて増えてきています。

ここで中年だからと言い訳して、怠惰を貫き通す人はバブル期でも、近いうちに淘汰される運命にあるので、ここまで助ける必要性があるのかというのが本の記載がほとんどありませんでした。

低賃金の雇用争奪戦ということが書いてありましたが、今はそういう時代ではありません。

ここが本と自分の意見の違いです。

学生時の教育については、賛同するところもある

この本では、学生時の教育についても述べています。

それは普通科ではなく、専門性のある学校を増やすというものです。

上記の考え方には自分も賛成で、中途半端に普通科の勉強をするよりは、何かに特化した専門性を勉強したほうが就職に有利なのは、ここ近年の雇用情勢から明らかです。

この専門性の学校も、工業、商業、農業だけでなく、もっと分化して科学的な根拠を持った接客や、サービスなど、科目や分野の移動もできるだけ融通が効くような仕組み化をしてほしいと自分は考えています。

ちなみに本ではここまで細かく分化したほうが良いとは書いていません。

昭和の日本体制=良いことではない

この本によると、就職氷河期は就職の窓口が狭き門になっているのが問題と書いています。

しかし自分は、この狭き門に入ったにも関わらず日本伝統の内弁慶体質に耐えきれず、ITバブル崩壊のタイミングで新卒カードを捨ててしまいます。

内弁慶体質とは、お客様は神様なので懇切丁寧な対応、身内の年下はスパルタという思想のことを指します。

たとえ就職の門戸がバブル時のように開いたとして、このような環境で働くのが良いかという点が、本では抜けていました。

ITバブル崩壊の時期に、プログラム開発のコストはどんどん下がり始めていました。

ここからブログやYouTubeなどが、個人で発信できる時代が来るのです。

そのとき、本では就職氷河期の世代は35歳で転職のカードを失うという、悲観的な内容になっています。

しかしIT技術の発展とともに、個人で稼ぐ下地はこの時代に整っていたのです。

そのため本の内容を見ると、伝統的な日本企業に就職する門戸が狭いことが、必ずしも良いとは自分は思いません。

まとめ

昭和的価値観に縛られた働き方や、北欧型の社会がベストという考え方は近年の日本人にはあっていないのは自明です。

残酷なようですが、昭和的価値観で我慢大会をして能力開発を怠っている人は置いてきぼりして、それ以外の内集団を作り出して、心地よい場所を自分で探し、そこに付加価値をつけるのが今の日本社会で生きるベストな方法ではないでしょうか。

貧困の問題は、資本主義を貫き通す上で避けて通れない道であり、国が関与の方向性を間違えると怠惰な国民が増えてしまうため、これは一筋縄ではいきません。

結論を北欧型に求めるのは早計で、かつ国に頼りすぎるのも考えものです。

学び直しのスタイルを、経済的側面と心理的側面から学習させることが最優先ではないかと自分は思います。

この点で著者と考え方に相違があります。

ご参考になれば幸いです。

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