【書評】広告の仕事

書評
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昭和世代の仕事の仕方

今回は杉山恒太郎著「広告の仕事」を読みました。

広告なので、クリエイティブなところが要求されます。

著者は戦後生まれの団塊世代で、電通の常務執行役員まで勤めた人です。

肝となる部分は、個人的にはクリエイティブの部分が面白く読み応えがありました。

昭和時代の仕事のやり方が記載されており、当時と今で言葉の野蛮さなどはあまり日本人として変化はしていません。

ただ仕事に対するお客と売る側のやり取りが、今と全然異なります。

倫理に基づかないものは、例えお客がOKを出しても売る側が「これはダメです」とダメ出しをするなど、人情味があるやりとりが文章から感じられます。

それは売る側だけでなく、お客の方も同様です。

昔の広告業界は、野心に満ちあふれている人がたくさんいて、目標とする人を超えていこうという考え方の新人がいたようです。

それに対して今の若い人は、目標とする人を目指すので、その人より下の出来栄えになってしまいがちとも言われています。

今の広告が自分を含めて「うざったい」や「邪魔」と思われるのは、お客が正しくて作る側がお客目線で作っていないし、実際つまらないとバッサリ斬っています。

著者の発想力

本には著者の発想力について、言及もされていました。

アイデアを出すには、過去の歴史が重要で、これらを徹底的に調べることで新しいアイデアが生まれるという哲学は参考になります。

著者は今も色々な雑誌を見て、「これは!」と思うものはスクラップにして取っておくことをしているそうです。

アイデアを枯らせないために、仕事のオンとオフの区別は曖昧になっており、かなりのワーカーホリックだといえます。

最後に匿名で仕事をしたこともあるようです。

しかし匿名で仕事をすると、責任がなくなるためその後3年スランプが続いたと著者は述べています。

これらのクリエイティブに関する、勉強の仕方は自分にとって少し斬新でした。

公共広告のアイデア出し

公共広告は人間の暗部について、色々なアイデアがでているため、著者はこの分野にのめり込みます。

企業が出している広告は、明るいのが前提でネガティブな表現は避けられるためしないのが普通です。

それが故に、アイデアの方向性も公共広告と比べると狭く感じていたようです。

この転向がうまくいき、仕事は大変ながらうまい具合に良い人と巡り会えたとも述べています。

まとめ

昭和時代の人情と江戸っ子的な言葉遣いでの、仕事の仕方は平成で仕事を始めた自分にとって、リアルな情景が浮かび上がってきます。

現代の人は目標が小さくなっているので、広告に限らず日本全体が縮こまっている感じがします。

アイデア出しの手法は、業界に限らず歴史をよく勉強することが大事なのは、新しい発見でした。

クリエイティブな世界の仕事とはどんなものか?興味本位で読みましたが、そこそこ面白かったです。

ご参考になれば幸いです。

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