【書評】なぜ自粛警察は日本だけなのか

書評
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日本人を縛る4つの習慣

佐藤直樹著「なぜ自粛警察は日本だけなのか~同調圧力と「世間」」を読みました。

内容は法とは別のルールが日本に存在し、それが「世間」という日本独特の慣習だと著者は述べています。

法は建前で「世間」という慣習が本音のルールであることを、事例とともに紹介しています。

これは自分の親がとても該当するので、低所得者の団塊世代の考え方、特に群集心理は下記4つによく当てはまります。

  • 過剰な返報制のルール(相手がギブしたら、お返しは必ずしないといけない)
  • 年功序列(先輩・後輩ルール)
  • 出る杭を打つ
  • 「大安・友引」ルール

1つ目の過剰な返報性のルールは、相手がお土産を買ってきたら、お返しをしないといけないというルールです。

これはお歳暮などでよく見られる習慣で、必要ないコストを本人に強いていて、もらった人自身もお金に余裕がなくても、お返しに何かを返礼しないと気がすまないというルールです。

2つ目のルールは日本に住んでいる人なら誰でも経験したことがあることです。

例えば芸能界でよくある、年長者のところに若輩者は控え室に必ず挨拶しに行くという習慣のことです。

3つ目もよくある習慣で、あまり目立ちすぎるとできない人たちから嫉妬を買って、団体でいじめに取りかかるという習慣です。

最期の「大安・友引」ルールは、結婚式などに「仏滅」を避けるなどのことを指します。

この4つの習慣が日本を息苦しくさせることを著者は述べています。

「世間」とそこに生きる人々

日本社会は法が建前で、「世間」がルールである、ゆえにこの「世間」ルールを破ると、内社会から追放され、二度と戻れなくなる。

これが事例として、小室さんの結婚、若者の間に蔓延する「人は生まれ持った環境、すなわち親ガチャできまる宿命主義」、内社会から追放されて自分の居場所がなくなった、「やけくそ犯罪」を取り上げています。

小室さんの結婚は、ガチお硬めな職業に両親も就いていて、本人も聖人君子のようでなくてはならない人は皇族との結婚は認めないという「世間」のルールに対して、相手側は法のルールに従って結婚しただけで、実はこちらの方が正しいことをしていることを冷静に分析しています。

次に親ガチャ宿命主義は、今の20代以下の人が親の所得環境によって、自分の人生が決まると心の中で思っているということ。

これは自分も一時期思っていたことで、父中卒、母高卒で父はトラックドライバー、母は水商売で生計を立てていた。

自分はなんとか上場企業の子会社に最初就職したが、過剰な返報性ルールや年功序列の強力な社内ルールがメンタル的にきつくてうつ病を発症。

その後は異業種に転職を試みるも、面接では裏切り者のレッテルを採用者が貼ってしまう、またメンタル不調がまだ認めてられなかった頃の話なので、仕事にブランクがあると採用されにくいという変なルールがあったため、抑うつでもブランク明けずにIT業界に就職しては辞めを何度か繰り返していた。

強いメンタルは両親が上流家庭なら少ないのでは、と当時は良く思っていました。

その後SNSが発達して、ブログのコメント欄に書き込む人の両親は、株で資産運用をしていたと述べています。

宵越しの金を持たない主義の自分の両親とは、対照的でこういう家庭で育つから外資系のCTOになれるのだと良く自分も思っていました。

最期の「やけくそ犯罪」は内社会からはみ出た、もしくは追放された人がヤケクソになって犯罪を犯すというものです。

こちらも自分は最初の会社という、内社会からはみ出した経験からわかります。

内社会にいると、先輩後輩の体育会系部活動の延長線上にいるわけです。

それが一度外にはみ出ると、「お前はもうよそ者だから関わり合いたくない」という態度を露骨に出してきます。

それが退職後結婚してメールで近況をその最初の会社で上司だった人に連絡したところの、文面にきっちりと書かれていました。

こういうことをするから、ヤケクソ犯罪が起こってしまうのだなと、やってしまう人の気持ちが少しわかる気がします。

しかしこれは気にする必要はないと個人的には思っていて、上記のような態度をとるような組織や個人はいずれ因果応報に合うのは目に見えています。

実際人口減少で売り手市場になっている、現在の日本で少しずつではありますが因果応報の芽が少しずつ出てきています。

匿名大好き日本人

本には日本人が匿名大好きという証拠を持ち出している結果がありました。

それはTwitterの匿名性です。

これが他国の場合、30~40%台で日本は75%を超えるとのことです。

上記のことはよくわかりますが、群衆は自分自身が聖人君子でもなんでもないのに、他人に対してはそれを求める傾向があります。

この傾向は知名度が高ければ、高いほど顕著にあらわれてきます。

ムラ社会の場合、独立してお金を稼げる人でないと、日本においては中々匿名を外すことは難しいのではないでしょうか。

だから昔mixiはSNSとして人気があったし、Twitterがこれほど使われるのも納得するところです。

この匿名性をうまく使いこなせれば、ビジネスとしても大きく稼げそうなことはmixiを見てよくわかります。

ただしmixiはfacebookが出始めた頃に、うまく匿名層を囲い込む施策で失敗したのが廃れた原因ではなかと思います。

まとめ

以上「なぜ自粛警察は日本だけなのか」についてまとめました。

法とは異なる「世間」が本音の社会で、この「世間」のルールを遵守しないと、村八分にされる陰湿なやり取りで弾かれた人が、多くのストレスを抱えて海外に移住、もしくはやけくそ犯罪に走ってしまうというのが現状なのでしょう。

この問題は根が深く、ムラ社会の中にいる人がはみ出した人に「おせっかい」をやくのが解決策と思っているのも大きな間違いだと筆者は考えています。

自分自身が聖人君子でもないのに、人にそれを強要させることを国民全員が辞めさせないと、無理ではないでしょうか。

早く法が本音で「世間」が建前であることを、無理と思いつつ願いながら締めます。

ご参考になれば幸いです。

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