【書評】会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

書評
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会計の歴史がわかる本

田中靖浩著の「会計の世界史イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語」を読みました。

意外にも会計の歴史は新しく、500年前イタリアのルネッサンス時代から出来上がったもののようです。

そこから不正会計が起こるたびに、バージョンアップを繰り返して現在に至るという物語です。

章立てで見ると歴史ドラマを見ているようで面白いのですが、全体を通してみると歴史の針が前後して少々混乱してしまう可能性がある本となっています。

なので各章を独立したものとして見ると、面白い内容になっています。

会計のバージョンアップも、大航海時代から近年にかけてイタリア→イギリス→アメリカに渡って行われています。

そのため本の歴史も、上記の順番で歴史的背景、登場人物など出てきます。

後半はイタリアに関係する会計の話はほとんど出てこなくなり、中後半はほとんどアメリカの歴史になっています。

全体で見ると時間軸が前後してわかりにくい

本の前半は時間軸に沿って、イタリア→イギリスの会計の歴史が物語形式で書いてあり、読み物としても面白いです。

しかし19世紀中盤から現代に至る歴史の中で、歌手の話と鉄道の話が前後して全体を通してみると読みにくくなっています。

これだけが少し残念なところで、あとは歴史上の有名人と会計、ファイナンスとの関わりについて面白おかしく書かれています。

各章単独で見ると面白い

19世紀中盤から現代に至る、歴史の針の巻き戻しを除いて各章を独立した物語として読む分には面白い内容であることは述べました。

会計は取引の透明性を担保するために使われ始めましたが、使う人間の質が悪いと不正の温床になってしまうため、そのたびに改善がされてきました。

しかし現在においても、個人を含む群衆が抜け穴を突いてやりたい放題をやっているのを見ると、イタチごっこしているなという印象も持ちました。

そういった不完全なことがあるゆえに、知っている人はうまく成り上がれるのだろうなというのは、本書の登場人物からも明確です。

まとめ

本書は歴史本なので、細かい会計の知識はあまりなくても簡単に読める良書といえます。

会計自体が数字を揃えるツールのため、これを毛嫌いする人は結構いると思います。

ただこういった人が読んでも、歴史好きであれば苦もなく読み切れます。

歴史に残る有名人と会計の関係は、読んでいると頭の中で当時のイメージが浮かんで来そうなくらい、よく練られた本で個人的には好みな内容になっています。

ご参考になれば幸いです。

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